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知っておきたい!口の話と身体の話

知っておきたい!口の話と身体の話

30年以上歯科医師をつとめる当院院長による口と身体に関するコラムを掲載しています。健康的な生活を送るために、ぜひご参考にしてみてください。

よく咬むことが健康につながります
ブラッシングの話
よく咬むことが肥満対策に
歯科再生医療

よく咬むことが健康につながります

みなさんは「健康」と聞いて真っ先に何を思い浮かべるでしょうか?

世界保健機関(WHO)が提唱する健康の定義は『肉体的、精神的及び社会的に完全な状態であり、たんに疾病または病弱の存在しないことではない』とあります。

このことから、
・身体が丈夫で社会的に安定していても、ストレスを抱えていては健康ではない。
・心がおだやかで社会的に安定していても、身体に疾患があるのは健康ではない。
・身体が丈夫で心がおだやかでも、社会的に安定していなければ健康ではない。
ということになります。

社会的安定は、その人が置かれた立場や環境によってさまざまですが、日常生活が快適に暮らせる状態であることではないでしょうか。

また、健全な肉体には健全な魂が宿る、といいます。この健全な肉体を維持するために何が必要でしょうか?豊かな心と規則正しい生活、バランスがとれた食生活、適度な運動、十分な睡眠時間。どれが欠けても健康を維持することは困難です。

当たり前の話ですが、私たちはしっかり呼吸し、食べることで生命を維持しています。その大前提として"ゆったり呼吸し、しっかり咬むこと"があげられます。

虫歯や歯周病、咬合異常など口腔疾患があると十分に食べ物を咬むことができません。やわらかいものばかり食べていては栄養が偏り、よく咬まずに飲み込むと胃腸に負担がかかってきます。

偏った食事が続くとカルシウム不足による骨粗しょう症、ビタミンが不足すると肌あれや口内炎、慢性疲労を引き起こします。胃腸に過剰な負担がかかると胃炎や消化不良になります。

現在はメタボリック症候群、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が深刻化しています。これらを予防、改善させることは大切ですが、まずは呼吸器と消化器の入り口である、鼻と口腔内を常に健康な状態にしておく必要があります。

また、しっかり咬むためには正しい咬み合わせができている必要があります。「虫歯や歯周病がないから大丈夫」と安心していませんか?咬み合わせが悪いと顎に過度な負担がかかり、不快な症状が持続します。

脳から枝のようにのびている神経は脊髄、脳神経、脊椎神経を通じ直接末梢へつながっています。脳神経のなかで最も大きな神経である三叉神経は、全脳神経の90%以上も働くといわれています。これは顔面の感覚を脳に伝える神経で眼神経、上顎神経、下顎神経の3本の枝に分かれています。

歯の根の表面を覆っている歯根膜と、この三叉神経は直結しているため、咬み合わせが悪いと、鰓から生まれた同じグループの副交感神経の迷走神経などを通じ、視床下部という自律神経の中枢に連絡し、同部に情動(心の)中枢もあるため、心身にさまざまな影響を及ぼします。

咬み合わせが一因となって起こる症状には次のようなものがあります。

顎・口腔内......発音障害、顎関節雑音、顎関節痛、開口障害、咀しゃく障害、嚥下障害など。

体......顔面のゆがみ、肩こり、腰痛、股関節の痛み、手足の冷え、視力低下、耳鳴り、疲労感、動悸、不整脈、骨格のゆがみなど。

メンタル......不眠症、集中力の低下、記憶力低下、うつ症状など。

お口の健康は、心身の健康と大変深い結びつきがある、ということをおわかりいただけたでしょうか?健康で高いQOL(生活の質)を維持するためにもあなたの口腔環境をいつも最適に保つよう心がけましょう。

ブラッシングの話

ブラッシング虫歯や歯周病予防にブラッシングがとても効果的なのはみなさんもご存知でしょう。「毎日歯磨きしているのに虫歯や歯周病になってしまう」という人は、歯科医院でブラッシング指導を受けてみてください。磨きグセや磨き残し、十分に汚れが落とせていない場所を確認することで正しくブラッシングできるようになります。

あなたはどんな歯ブラシを使用していますか?ヘッド部分が大きすぎるものは細かいところまでブラシが届かないので磨き残しが多くなります。

毛先が開いてしまっているのも同じです。歯ブラシはあなたのお口の健康をケアするために大切な物ですから定期的に取り替えるようにしましょう。ブラシが届きにくい歯と歯の間はデンタルフロスや歯間ブラシを併用するのも効果的です。

歯ブラシの歴史ですが、古代エジプトのチュースティックやお釈迦様が広めた歯木が始まりだといわれています。どちらも木の枝を切ったもので歯を磨くものですが、やがて歯磨剤が使用されるようになりました。卵の殻を焼いた灰、蜂蜜と焼塩と酢を混ぜたものだったのが時代と共に変化して、現在ではたくさんの種類の歯磨剤が発売されています。

多くの人が幼少時から歯磨剤を使って歯磨きをしてきたと思います。しかし私は毎回歯磨剤を使用しないようにと患者さんにアドバイスします。

「でも歯磨剤を使わないとスッキリしない」という方がいらっしゃいますが、この爽快感が大きな落とし穴なのです。歯磨剤をつけてブラッシングすると泡やメンソールなどの香辛料がお口全体に広がるのでスッキリして"磨けた気分"になってしまうのです。

また、歯磨剤を使用して強く歯を磨きすぎるとエナメル質が傷ついたり歯が磨耗して知覚過敏を引き起こすことがあります。

口臭が気になるからと歯磨剤に頼るのも考えものです。大きな原因である歯垢(プラーク)をしっかり落とさなければ、口臭が改善することはありません。

歯ブラシだけでも汚れを十分落とすことは可能です。ステイン(着色汚れ)が気になるときは、その部分だけ歯磨剤をつけて磨いたり、どうしても歯磨剤を使わないとスッキリしないという場合はノンペーストでしっかり掃除してから、最後にほんの少しだけ歯磨剤をつけて着色が気になる部分をブラッシングするようにしましょう。

よく咬むことが肥満対策に

よく咬むことが肥満対策にあなたは食事にどれくらいの時間をかけていますか?しっかり食べ物を咬んでから飲み込むようにしていますか?

戦前の食事は麦などの雑穀やいも類、根菜類、高野豆腐、煮干などが食卓に上っていました。当時は食べ終わるまでに約1420回咬んでいましたが、現代は約620回ですから半分以上、咀嚼回数が減ったことになります。

その原因のひとつが欧米式の食事の普及で、ハンバーガーやスパゲティなどやわらかい食品を摂るようになったことが考えられます。

よく咬んで食べることで胃腸での消化・吸収がスムーズになります。それ以外にも脳の満腹中枢を刺激して食欲を抑えて食事療法や肥満対策に役立つことがわかっています。

時間をかけてよく咬むことで脳の働きが活発になり、神経ヒスタミンの量が増加します。神経ヒスタミンは満腹中枢や交感神経を刺激して、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌を活発にすると考えられています。

肥満や2型糖尿病(食べ過ぎ、運動不足、肥満、体質といった生活習慣が原因となる糖尿病)対策に有効なのが食事のときにひと口20~30回咬む『噛ミング30(カミングサンマル)』です。

よく咬んで、美味しく味わって食べることで生涯を通じて肥満対策ばかりでなく満足感やくつろぎを得ることができます。

ご飯を主食とする日本食は、咀嚼回数を増やす最適な食事です。きらいでなければ玄米のご飯を中心に主食、副食を並べた一汁三菜が基本で、口の中でご飯とおかずが一緒になることで咀嚼回数が増えます。

また、日本食は肉や油脂をあまり使用せず、野菜や茸類、海藻類を多く使うため、低カロリーで食物繊維が豊富に含まれているので咬む回数が自然に増えていきます。

肥満や糖尿病対策のため食事制限をしたり、運動をするという方法を実践している人は多いでしょうが、まずは食事の献立や咬む回数に着目してみましょう。

歯科再生医療

歯科再生医療再生医療とは、病気やけが、事故などで組織や臓器を失った場合、薬や医療材料の代わりに体の中の細胞を用いて、機能や形状を回復させる先端医療技術です。

歯科医療の分野では『歯髄細胞バンク』が2008年10月、鶴見大学歯学部で設立されました。これまで医療廃棄物として処分されていた乳歯や親知らずから歯髄細胞*を採取、ウイルスの有無などを調べてから細胞を一定量培養して冷凍保存させるもので将来、虫歯や歯周病の治療ばかりでなく骨の形成や、 修復、脊髄損傷、臓器の疾患などに対応した再生医療に活用することが期待されています。

自分の歯髄細胞を用いることで拒絶反応の心配がなく、患者さんの負担も軽減することができます。

歯髄細胞バンクに登録するためには
乳歯や親知らずを抜歯していただきます。※抜歯のタイミングは医師の診断で決定します。
幹細胞は老化とともに減っていきます。特に20~30歳から激減するため、できるだけ早めに細胞保管をするのが望ましいでしょう。

ただし、歯が虫歯になっている場合などはお預かりできない場合があります。また、すでに抜けてしまった歯や自宅で抜いた歯は細胞が細菌感染していることが多く、お預かりすることはできません。

当院は歯髄細胞バンク歯科医療施設として再生医療推進機構に認定されています。詳細についてはお問い合わせください。

株式会社再生医療推進機構のホームページ

※歯髄細胞......歯の神経に含まれる幹細胞(木の幹から枝が分かれるように、さまざまな細胞に分化する能力を持つ細胞)の一種で、歯牙の硬い組織に保護されているため紫外線や放射線を通さず、遺伝子も傷つきにくいので再生医療に適しています。

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