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よく咬むことが健康につながります

みなさんは「健康」と聞いて真っ先に何を思い浮かべるでしょうか?

世界保健機関(WHO)が提唱する健康の定義は『肉体的、精神的及び社会的に完全な状態であり、たんに疾病または病弱の存在しないことではない』とあります。

このことから、
・身体が丈夫で社会的に安定していても、ストレスを抱えていては健康ではない。
・心がおだやかで社会的に安定していても、身体に疾患があるのは健康ではない。
・身体が丈夫で心がおだやかでも、社会的に安定していなければ健康ではない。
ということになります。

社会的安定は、その人が置かれた立場や環境によってさまざまですが、日常生活が快適に暮らせる状態であることではないでしょうか。

また、健全な肉体には健全な魂が宿る、といいます。この健全な肉体を維持するために何が必要でしょうか?豊かな心と規則正しい生活、バランスがとれた食生活、適度な運動、十分な睡眠時間。どれが欠けても健康を維持することは困難です。

当たり前の話ですが、私たちはしっかり呼吸し、食べることで生命を維持しています。その大前提として"ゆったり呼吸し、しっかり咬むこと"があげられます。

虫歯や歯周病、咬合異常など口腔疾患があると十分に食べ物を咬むことができません。やわらかいものばかり食べていては栄養が偏り、よく咬まずに飲み込むと胃腸に負担がかかってきます。

偏った食事が続くとカルシウム不足による骨粗しょう症、ビタミンが不足すると肌あれや口内炎、慢性疲労を引き起こします。胃腸に過剰な負担がかかると胃炎や消化不良になります。

現在はメタボリック症候群、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が深刻化しています。これらを予防、改善させることは大切ですが、まずは呼吸器と消化器の入り口である、鼻と口腔内を常に健康な状態にしておく必要があります。

また、しっかり咬むためには正しい咬み合わせができている必要があります。「虫歯や歯周病がないから大丈夫」と安心していませんか?咬み合わせが悪いと顎に過度な負担がかかり、不快な症状が持続します。

脳から枝のようにのびている神経は脊髄、脳神経、脊椎神経を通じ直接末梢へつながっています。脳神経のなかで最も大きな神経である三叉神経は、全脳神経の90%以上も働くといわれています。これは顔面の感覚を脳に伝える神経で眼神経、上顎神経、下顎神経の3本の枝に分かれています。

歯の根の表面を覆っている歯根膜と、この三叉神経は直結しているため、咬み合わせが悪いと、鰓から生まれた同じグループの副交感神経の迷走神経などを通じ、視床下部という自律神経の中枢に連絡し、同部に情動(心の)中枢もあるため、心身にさまざまな影響を及ぼします。

咬み合わせが一因となって起こる症状には次のようなものがあります。

顎・口腔内......発音障害、顎関節雑音、顎関節痛、開口障害、咀しゃく障害、嚥下障害など。

体......顔面のゆがみ、肩こり、腰痛、股関節の痛み、手足の冷え、視力低下、耳鳴り、疲労感、動悸、不整脈、骨格のゆがみなど。

メンタル......不眠症、集中力の低下、記憶力低下、うつ症状など。

お口の健康は、心身の健康と大変深い結びつきがある、ということをおわかりいただけたでしょうか?健康で高いQOL(生活の質)を維持するためにもあなたの口腔環境をいつも最適に保つよう心がけましょう。


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