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2011年10月20日

デンタルドック(お口の中の健康診断)について

予防や環境改善処置を的確に行うためには、個人の顎口腔の細部にわたる情報収集が必要となります。

そのためには、治療や処置に入る前に、全身状態の把握、現在の問題点や状態、歯と歯並びの問題、歯槽膿漏の問題、顎関節の問題、その他、腫瘍やできものなどの問題を「デンタルドック」を受けていただき、この結果に基づいて治療方針や予防法を決定していきます。

ただし、「デンタルドック」は、人間ドックと同じように健康診断になりますので、保険が適用されません。詳しい金額については、当院にお問い合わせ下さい。

<デンタルドックの検査項目>
唾液検査(リスク検査)
レントゲン検査
口腔内写真及び顔写真撮影
顎模型(歯型の模型)採取及び模型上診査
歯周病の検査(歯周ポケットの深さや歯の動揺度など)
顎関節の検査
カリエスチェック(虫歯の検査)

<検査後の治療の流れ>
治療のゴール設定
段階的治療計画の立案
治療の前後の比較

 

唾液検査(リスク検査)

◆唾液のリスク検査
・唾液の流出量検査
検査用のガムを咬む(5分間)
唾液を吐き出す
量を測る

・唾液緩衝能検査
検査紙に採取した唾液をかける
色の変化で判定する

・虫歯原因菌量の検査(ミュータンス菌、ラクトバシラス菌の量の判定)
寒天培地に採取した唾液をかけ、37度の培養器の中で二日間培養し、判定する。

・その他
食習慣診査、口腔内の汚染度合い診査
 

レントゲン検査

◆CT(コンピューテッド トモグラフィー)レントゲン写真
・コンピューターで薄くスライスする断層写真で連続性を持ったレントゲン写真です。
・インプラント処置にも必要なレントゲンです。
・それをもとに3D画像が構成でき、骨や歯の異常や顎関節の状態を立体像で診査します。

CT

CT

 

口腔内写真及び顔写真撮影

◆口腔内写真の撮影
基本的に11枚の写真を撮影します。
写真にすることで記録し、いつでもその時点の状態を詳しく診査することができます。
口腔内写真

◆顔貌写真の撮影
写真をとることで、お顔の骨格、筋肉など軟組織の状態や上下のバランス、左右の対称性など、その時点の状態を記録し、詳しく診査することができるだけでなく、後の比較ができます。
 

顎模型(歯型の模型)採取及び模型上診査

顎模型◆上下の歯型を採り、石膏を流して模型を作ります。
模型にすると、表側からだけでなくあらゆる方向から見ることが可能となり、歯列や咬み合わせの問題点など、詳しく診査できます。

更に、API診査を行い、現在の顎の状態を顎関節 を中心に診断することができます。
API診査

 

歯周病の検査(歯周ポケットの深さや歯の動揺度など)

歯周病の検査◆歯周ポケット検査
歯の周囲には歯肉溝(しにくこう)といわれる溝が存在します。歯周病が進行すると骨が退縮し、その溝が深くなり歯周ポケットと呼ばれる状態となります。

その深さをプローブという器械を使って測定することで歯周病の進行状態を把握することができます。

また、同時に出血や排膿の有無を記録していきます。健康な歯周においては出血・排膿は見られないものなので炎症の有無を判定する基準の一つとなります。
 

顎関節の検査

◆顎関節検査
・口を開けたり、閉じたりした時の顎関節音検査
・口の開口量検査
・顎の運動(動き)の検査
・顎の筋肉の検査
・その他
 

カリエスチェック(虫歯の検査)

カリエスチェック◆虫歯(カリエス)の検査
レントゲンや視診で、丁寧に検査していきます。それでも解りにくい虫歯は、レーザーの診断器械(ダイアグノデント)を使用し正確に診断していきます。

 

治療のゴール設定

インターディシプリナリーアプローチが必要
症例がとても複雑になると一人の医師の力だけでは不十分になってしまいます。そこで、関連の専門分野の人が、深い知識と理解の上で協力しながら、診断時から医療Teamを組み一人の患者さんの診療を進めていく方法をインターディシプリナリーアプローチといいます。

インターディシプリナリーアプローチについて

治療計画を立案する際には、1人で担当しなければいけない場合でも、自分の頭の中では、それぞれの専門(補綴専門医、歯周病専門医、歯内療専門医、矯正専門医、顎顔面外科専門医)の立場にたってその見地から診断し、「どの立場で、何時、どのように医療介入したら無理・無駄が最小で、最も予知性の高い治療結果を得られるか」を考えて、順序だてた段階的な治療計画を組み立てて立案していくことが重要となります。

治療のゴール
治療のゴール審美:
見た目のバランス

機能:
咬む能力

構造:
作りつけた人工物を
長持ちさせる構造

恒常性の回復
と組織の保存:

自然治癒能力を活性化し、
いつも再生可能な良い
組織の状態を保つこと

患者さんを含めたチーム医療
QOLを守るには患者さんも含めたチーム医療が必要です。医療は医学の進歩に伴い専門化が進み、患者さんを1人の医師が診る形態から、多くの専門職が関わる形態へと変化してきました。

また、医療が単に疾患の治療に専念していた時代から、全人的医療の時代へと変化してきました。この2つの理由から、医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、放射線技師、検査技師、心理療法士、歯科技工士、MSW、ケースワーカー、介護士などがチームを組んで、治療に当たるようになりました。

そして、近年QOLへの注目が高まるとともに、患者さんの意向が尊重、優先されることが要請されてきました。

メインテナンスのお約束
メインテナンスのお約束インプラント処置後、自身のQOLを守るためにメインテナンスを受け入れに同意して頂きます。

 

段階的治療計画の立案

Treatment Planning(治療計画)
・Prosthetic Procedure:(補綴学的手法)
・Basic Deta Gathering(基礎資料の収集)
・Diagnostics Waxing Up(診断用模型調整)
 :調節性咬合器に模型付着して考察を加え添窩・削合によりAnatomical Waxing Upを行う
・Radiographic Stent(レントゲン診断用ステント)
・Radiographic Analysis(エックス線画像診断)
・Surgical Stent(手術用診断・ガイドステント)
・Impression(補綴物製作用印象採得)
・Provisional Restoration(治療診断用義歯)
・Abutment Selection(粘膜貫通部支台の選択)
・Super Structure(補綴上部構造)

1st stage (Initial Phase:炎症の抑制)
・オーラルフィジオセラフィーの徹底を図り、モチベーションを確立します。
・カリエス処置、エンド処置、抜歯 
・プロビジョナルレストレーションI置換
・ダイアグノスティックワックスアップ、A.P.I.、F.O.P.
・再評価

ダイアグノスティックワックスアップ
ダイアグノスティックワックスアップ調節性咬合器にtransfurしたStudy Cast模型上で以下を考慮してintercuspationを見ます。

Anatomical Waxing Upを行います。
・Curve of Spee
・Curve of Wilson
・Golden Proportion

治療ゴールのイメージ
治療ゴールのイメージ

 

治療の前後の比較

治療前後の変化(本人感覚)
(K.Kさん・男性)
1.腰痛がなくなりました。
2.頭痛と首のこりが消えました。
3.アゴの関節ががくがく音がしていたのが止まりました。
4.右の目が左より目じりが少し下がっていましたが、並行になりました。
5.時々めまいがしていましたが、一度もしていません。
6.イライラすることがよくありましたが、なくなりました。
7.匂いについては、挽きたてのコーヒーの香りが少しする程度でしたが、
 いまではかすかな草花の香りもわかるようになりました。
8.鼻づまりが治りました。
治療前後の変化(本人感覚)

治療前後正面観の比較
治療前後正面観の比較

治療前後咬合面観の比較
治療前後咬合面観の比較


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